DEFT PRO の 右クリックがチャタリングし始めたのでマイクロスイッチを交換した
はいこんばんは。hdbxです。
今回はエレコムさんのトラックボール「DEFT PRO」の右クリックがチャタリングし始めてしまったので、マイクロスイッチを交換していきますよ。
ちなみに言うまでもないですが、分解はするわ部品交換はするわの修理行為ですので、エレコムさんのメーカー保証は受けられなくなります。
この記事を読んでトライする場合も完全自己責任でよろしくです。
準備
では以下のものを準備します
- DEFT PRO
エレコム トラックボールマウス/人差指/8ボタン/有線/無線/Bluetooth/ブラック
- 発売日: 2018/04/20
- メディア: エレクトロニクス
- オムロン (OMRON) 純正 マイクロスイッチ D2F-01F
オムロン (OMRON) 純正 マイクロスイッチ ピン押ボタン形 プリント基板用端子 微小負荷 定格0.1A 5個セット D2F-01F
- メディア: Tools & Hardware
- T6トルクスドライバー
- No.00プラスドライバー
- 小さいマイナスドライバー的なもの
- はんだごて
- はんだ吸い取り器またははんだ吸い取り線
白光(HAKKO) 簡易はんだ吸取器 ハッコースッポン 20G
- メディア: Tools & Hardware
goot(グット) はんだ吸取り線 3.0mm幅 ステンレス口金付き ディスペンスケース入り 2m巻き CP-30Y 日本製
- メディア: Tools & Hardware
分解
では分解していきましょう。
ボール受けを外すところまでの分解手順はこちらの記事をご覧ください。
基板にアクセス
写真の状態になったら、赤色で囲った3ヶ所のネジをプラスドライバーで外します。
水色で囲ったコネクタも外しましょう。
右端のマイクロスイッチ基板(ベージュ)のネジを外したくない場合は、コネクタ側を外してください。
赤矢印で示しているのが右クリック時に押下されるOMRONのマイクロスイッチです。
他に2つマイクロスイッチが写っていますが、これは使用頻度が低いからなのかOMRONではなくKailhのものです。(元気に動いていて問題ないです)
※写真はマイクロスイッチ交換済みです。(なぜなら交換前の写真を撮り忘れたので)
電池のところは気をつけて
赤色で囲った電池用の端子部は基板にはんだ付けされていますので、電池ボックス側から押し上げるなどしてそっと取り外します。
こいつが犯人だ
OMRONのマイクロスイッチです。D2FC-F-7N(10M)という品番が見えます。誇らしくCHINAとプリントされています。好きなのでしょうか。
10Mというのは10 Million つまり 1,000万回のスイッチ押下耐性を誇るということを示威しているのでしょうか。その10分の1も押してないのにあっけなくチャタリましたけど。
裏返し
基板を裏返すと、3ヶ所の足がはんだ付けされています。
はんだ吸い取り器で吸い取りつつ、400℃くらいに設定したはんだごてを3つの足に順番に当てながらマイクロスイッチを引っこ抜きました。(なんと写真なし)
交換
OMRONのD2F-01F(日本製)に交換。(はんだ付けしました)
動作確認
この状態でも電池を付けられるので、右クリックが正常動作するか確認します。
問題ありませんでした。
元通り組み立てる
分解と逆の手順で組み上げて完了。
ちなみに今回の交換にかかった作業時間は約30分でした。
最後に
もともと私のDEFT PROは支持球をジルコニアボールに交換してしまっている手前、ELECOMさんのメーカー保証は受けられない状態です。
マイクロスイッチがチャタってしまったら「買い換える」か「接点復活剤で一時しのぎする」か「マイクロスイッチを交換する」かのいずれかの選択肢でした。
マイクロスイッチの交換はリーズナブルですし、自分で作業すると愛着も湧きますし、気に入ったモノは大事にしながら長く使いたいですからね。
これでまだまだ使い続けられそうです。✌
ALETH42 をビルドした話
ALETH42というキーボードを組み立てました。
ジョリーグッドに仕上がったのでビルドの過程をご紹介したいと思います。
ALETH42について
ALETH42は最大で42キーのコンパクトなキーボードです。
開発者はモンクスオブファンク (@monksoffunkJP) | Twitterさんで、詳細はこちらのGroupBuyページに紹介されておりますので細かいところは割愛しますが、私的なツボは「Planckのケースにぴったり収まる」ということ。
Planck*1は言わずと知れたOLKBのJack Humbertさんが開発された40% Ortholinear Keyboardです。そもそも現在では一般的に格子配列のキーボードを指す用語として定着した"Ortholinear"という単語自体も実はJackさんが名付け親だそうで、OLKBというのはOrthoLinearKeyBoardの略だそうです。そんな御託はさておき、私がキーボード趣味を始めた2018年初頭あたりに買ったのが実はPlanckでしたので、私にとってはひときわ感慨深いキーボードなのであります。
ALETH42はそんなPlanckのアルミ製のちょっと高級感あるケース(Lo-Pro,Mid-Pro,Hi-Pro)を流用できるコンパクトなRow-Staggerdキーボードなのです。*2
残念ながら現在はGroupBuyが終了して25KEYSのBoothでは購入できないようですが、購入要望をもんくさんに送っておけばRound2も期待できるのではないかと思います。と思ってたらエクストラの販売が本日12月25日の午後にあるとのことです。急げ❗️
組み立てる
写真に写っている黄色いケースはさっきからしつこく言ってるPlanckのHi-Proケースで、それ以外はALETH42に同梱されてきたものです。
- PCBA
- トッププレート(ブラックアルマイト)
- スペーサー6個
- ネジ類
- USBコネクタ保護カバー(おまけ)
基板はAtmega32U4のMCUが実装済みでデフォルトファームウェアもFlash済みでした。とてもスマートで喜ばしいことですね。
1.基板にスペーサーをはんだづけ
こんなやつを
まずケース裏からスペーサーをネジ止めして
それからPCBを載せて
位置合わせしてねじどめして
ケース裏のネジを外してPCBを外し
スペーサーをはんだづけ
2.ロータリーエンコーダーをはんだづけ
付けなくてもいいですけど、付けたいならば左上か右上またはその両方にロータリーエンコーダーを仕込めます。今回は左上に。
こちらは遊舎工房で購入したロータリーエンコーダーです。
3.PCBマウントのスタビライザーを付ける
C3 EQUALZのPink色のかわいらしいスタビライザーです。
ハイプロケースなのでキーキャップを付けるとほぼ見えませんが、オシャレは見えないところからですからね。
静音のためにバンドエイドMODよろしく遊舎工房でも取り扱いのあるDES Filmsのいらない子側をカットしたやつを、スタビライザーの当たるところに敷きます。
私はスタビライザーのLubeはSuperLubeと決めています。
4.静音用フォームを付ける
KBDFansのModule Foamをプレートの裏から貼り付けます。1.25Uと1Uのマルチレイアウトになっているところなどは貼り付け位置に注意します。
5.スイッチをLubeしてからはんだづけ
今回はAlpacaスイッチをKrytox GPL205g0でLubeしてTX Switch Filmを挟んだものを使います。
位置合わせ大丈夫かな…と不安になったときは、はんだづけ前に着せてあげる予定のサイズのキーキャップを並べて確認するのが確実です。
できました。
6.スイッチLEDをはんだづけ
1.8mm LEDを付けます。今回はAliExpressのお店でウォームホワイトをチョイス。LEDの長い方の足をPCBの○穴、短い方を◻︎穴に入れてはんだづけします。せっかく小さいLEDを選んだのに、浮き上がった状態ではんだ付けしてしまうとキーキャップに干渉して嫌な音が鳴るので、浮かないように注意してつけます。
消灯状態
点灯すると電球色っぽい暖かみのある色で光ります。
7.PCBとケースの間にEVAフォームを敷く
現物合わせでカットしました。写真のダイソーの3mm厚では分厚すぎてネジが締められなかったので、最終的には以前Aliで購入していた1.5mm厚のものを使いました。
USBコネクタ周りをデザインナイフでカットして、スペーサー部分はケース裏から目打ちで位置決めしてからポンチで抜きました。
8.完成
できあがり
キーキャップはゴールドがかったケースの色味に合わせて Infinikey HIVE を選択しました。
ブラックとイエローのコントラストとケースのメタリックなゴールド色とが相まって、コンパクトなのにスパルタンなキーボードに仕上がったと思います。LEDの色もよく合ってます。
もちろん見た目だけではなく、Alpacaキースイッチもリニアとしての実力は確かですし、ボトムマウントのケースとはいえフォームを敷き詰めて耳障りなケースの反響音は可能な限り抑えていますので打鍵音も心地よく、重すぎず軽すぎない2020ベストモバイルキーボードと言っても過言では無い出来になったと自負しています。
ビルドを終えて
実は私はALETH42についてはα版から参加していたので、Rev0のPCBで組み上げたALETH42(3D Printed Plate, T1 Switch, Planck Lo-Pro Case)をすでに一台持っています。今回組み上げたALETH42 Rev1.1とはPCBもプレートもケースもスイッチも違いますので、打鍵感はまるで違います。(今回のがとにかく良い)
基礎設計が同じキーボードでもここまで打鍵時の気持ちよさが変わるということに改めて新鮮な驚きを感じて、俺って全然キーボードのことわかってないよなぁ、これから先ももっともっと楽しめそうだよなぁと、この金喰い虫で置場所に困らせられる趣味の懐の深さに若干の畏怖の念を抱きつつも来年もよろしくということで筆を置きます。
メリークリスマス🎄
キーボードポエム2020
コミュニケーションがあった
人と人
身振り手振り
目配せ
声、言葉
文字
紙とペン
こどもたちはサンタクロースに手紙を書き
プレゼントを夢にみる
人語を解さぬ関係もある
馬と人
手綱、拍車、鞭、鞍
橇に乗ったサンタクロースは赤鼻のトナカイに鞭を入れ
こどもたちの眠る暖かな家の煙突を目指し夜空を駆ける
そして一方的な命令
機械と人
0と1
入力装置
キーボード
オンラインストアにキーを打ち込むと訪れる彼もサンタクロースか
指先から機械へと伝わる言葉
なにゆえに惹かれるのか
自らの打鍵が命令となって眼前のモニタに映し出されるから
鍵を打つ指は心地よさに弾み
その調べを聞く耳は安息を覚え
何にも比肩し難いその美しい佇まいを見る目は時を忘れ
心は所有の喜びにわななき震える
或る者は打鍵を極めんとキースイッチの沼を彷徨い
また或る者は究極の音を鳴らすキーボードの構造に思索を巡らせる
取り憑かれたかのようにキーキャップを着せ替える者
アルチザンなる異形のキーキャップに魂を奪われし者
自らの手で絶望の淵から新たなる鍵盤を生み出す狂気の者
いつしかキーボードは自身が一介の入力装置に過ぎなかったことを忘れ
ステッカー、バッジ、ポスター、アパレル、バッグ、TVメディア
その活躍の場を無軌道かつ向こう見ずに広げ
今やひとつのカルチャーとしての地位すらをも獲得しようとしているのだ
そうだったのか
漸く気がついた
おれがキーボードを使役し命令していたのではなかった
キーボードこそがおれを使役し命令していたのだ
道理でおれのキーボードを求める衝動は最近のおれらしくはなかった
まるでサンタクロースに贈り物をせがんだあの頃のような
あれはキーボードがおれをして仲間を増殖せんと企てた所為だったのだ
おれはひとたまりもなくその策略に嵌り今のおれとなってしまつたのだ
あゝキーボードが欲しい
シュワキマセリ
目覚めた朝には、枕元の靴下の中に何を見るのか、それとも見ないのか
メリー・クリスマス
この詩は キーボード #1 Advent Calendar 2020 - Adventar の12/25の記事であり、
ALETH42 [switch: Alpaca w/GPL205g0,GPL105,TX film / cap: Infinikey HIVE] を
用いて書かれたものです。
自作キーボード LEFTOVER30 を自分好みにカスタマイズ!(Rev.1.3)
はいこんばんは。hdbxです。
今回は@marksardさんと@yohewiさんとが開発している横から、わたくし@hdbxが、ちょちょっと口を挟んだりしてるうちに出来上がり、8月26日より販売を開始した自作キーボードキット「LEFTOVER30」のカスタマイズ記事です。
キットやケースデータなどの販売はこちら
marksard.booth.pm
rt421.booth.pm
LEFTOVER30『トップケースセット』 - R421 - BOOTH
LEFTOVER30『ボトムケースセット』 - R421 - BOOTH
rt421.booth.pm( ↑ ボトム側にも鉛仕込めるやつー)
では早速カスタマイズの話を……
1. ケースにウェイトを仕込んで重くする
50mm幅で1mもの長さで、裏に粘着テープ貼付け済みという便利な鉛がAmazonさんで売られていますので、今回はこれを使います。
折じわを綺麗に伸ばしたい場合は、粘着テープの保護紙を折じわのところまで一旦剥がしてから、シートを伸ばした状態で再度戻してあげて、それから平面でゴシゴシしてあげるとうまく平らになると思います。
机上での安定感も増しますし、打鍵時のしっかり感も出ておすすめのカスタマイズです。あ、鉛を素手で触る場合は作業中はあまり色んなものは触らないように注意して、作業後はすぐに手を洗いましょうね!
2. SIPソケットでインジケータLEDを交換できるようにする
SIPソケットとかLEDホットプラグソケットとか、そういうのをPCBにはんだ付けしますと、気分でLEDを交換することができるようになります。
3.ボトムケースにウェイトを積む
がっつりのせていきましょう。
こいつをボトムプレートにはめ込むのですが、取れないように両面テープで付けるか接着にした方がいいかと思います。
トップ・ボトムそれぞれのケースにウェイトを仕込むと、アルミケース並みの重量感あるしっかりキーボードに仕立てられますよ。はい。
4.PCBを防振する
LEFTOVER30はスイッチプレートレス設計で、スイッチをPCBにマウントする仕様です。プレートが無いので、打鍵するとPCBがしなります。
そのため打鍵感が柔らかいというのが一つの特長なのですが、私はしなったPCBが戻る際に少しビビるような感じを受けたのが気になってきました。
遊びが少し大きすぎるというか、うまく表現できませんが落ち着かせたいと思ったんですね。
ではどうするか?振動を抑えたいですね。はい、鉛シートは防振もできると書いてありました。早速貼ってみましょう。
ちょうどPCBの背面にLEDテープを貼り付けられるスペースがありますが、私はLEDテープを貼ってませんので、そこに貼るのが良さそうです。
先にカプトンテープをPCBに貼って、その上からカットした鉛シートを貼ってみました。
鉛シートを貼ってみたところ、気持ち振動が抑えられているのか、打鍵時の違和感が無くなりました。(プラシーボかもしれません)
今日のところはとりあえずここまで。続きはまた!
DEFT PRO の支持球を交換して滑りヌルヌルにした
はいこんばんは。hdbxです。
今回はエレコムさんのトラックボール「DEFT PRO」のボールの滑りをめちゃくちゃぬるぬるにするべく、3個の支持球を交換していきますよ。
ちなみに分解はするわ部品交換はするわですので、エレコムさんのメーカー保証は受けられなくなります。完全自己責任行為です。
準備
では以下のものを準備します
- DEFT PRO
- 2.5mm径のジルコニアボール3個 私はAliで12個入りを調達しました
- T6トルクスドライバー
- No.00プラスドライバー
- 小さいマイナスドライバー的なもの
- デザインナイフ(カッターナイフでも可)
- マスキングテープ(セロハンテープでも可)
分解
では分解していきましょう
買ってきましたDEFT PRO
このルビーの支持球を……
ジルコニアボールに交換するわけです
1.背面ネジ7箇所を外す
外すのはこの7箇所です
精密マイナスドライバー的なものでこじってそろっとゴムをめくると六角星型ネジがあります。T6のトルクスドライバーかヘキサローブドライバーでないと外せません。
シールの下にネジが隠れていますので、デザインナイフなどで穴を開けてから外します
2.上部を外す
全部ネジを外したら上部を持ち上げて矢印の方向へ外します
この2箇所は爪
こちらが爪の受け
3.フレキシブルケーブルを外す
親指側のユニットのコネクタにフレキが挿さっていますので
こんなふうにコネクタを持ち上げてやってフレキを抜きます
こちらも同じく
4.玉受け部を外す
青で囲った3箇所はツメで固定されてますので、ツメを開いて外します。私は2箇所側の手前はツメを折ってしまい、奥はほとんど動かなかったので無理やり引っこ抜きました。ここが最大の難所でした。
赤で囲ったネジはプラスネジなので、精密プラスドライバーで外します。
ルビーが飛び散らないようにマステを貼って……
いよいよこの3箇所のネジを外せば……
ルビーとご対面!
5.支持球を交換する
ジルコニアボールに入れ替えます。マステはそのままの方が安心です。
作業完了!
作業を終えて
玉の滑りが最高にヌルヌルになります。KensingtonのSlimBlade Trackballと比べても遜色ないレベルで動き出しからスムーズです。
動きが渋いときの嫌なストレスから解放されますので、自己責任ではありますがオススメの改造です!
ということで、では!!
そうそう、同じくELECOMさんのHUGEも2.5mmの支持球を使っていますのでこの改造は有効ですよ! こちらをご参考にしていただければと思います。
ELECOM HUGEの人造ルビーをジルコニアボールへ交換する #これをこうしてこうじゃ pic.twitter.com/ihA1pvNrTZ
— やましたおかず (@hdbx) 2019年4月14日
エレコム マウス ワイヤレス (レシーバー付属) トラックボール 大玉 8ボタン チルト機能 ブラック M-HT1DRXBK
- 発売日: 2018/02/16
- メディア: Personal Computers
Artisanキーキャップの製作工程を調べてみた [ Hammerhead Shark 試作 ]
この記事は キーボード #2 Advent Calendar 2019 の3日目の記事です。
はいこんばんは。@hdbxです。
今回は天下一キーボードわいわい会 Vol.3で販売された封入系Artisanキーキャップ『Hammerhead Shark』(通称ハンマヘ)の試作工程を、製作者である@BOXXX_KEYCAPさんからご提供いただいた写真に語らせる感じでご紹介させていただきますね。
何でもご本人曰く「クリエイターの仕事にいちいちキャプション付けて説明するのって『全然セクシーじゃないよね』」ということで。
決して私が手抜きをしたとかそういうことではないことは最初にご理解いただきたく。 あまり前置きが長くなってもいけないので記事本編です。どうぞ。
チマチマと面倒くさそうなことをやっていることがわかりましたね。いかがでしたか?
Let's make your own artisan keycap!
自作キーボードを始めるにあたって用意すべきツール
自作キーボードを始めてみたいけど、はんだごては買わないといけないとして、他には何を用意していいものやら……という初心者の方向けの記事です。
作りたいキーボードはどんなキーボードなのか?
キーボードのビルドにあたって準備しないといけないツールは、作りたいキーボードの種類によって異なります。 2019年3月現在、一般的な自作キーボードを製作が簡単なものから順に並べると、だいたい下記のようになります多分。
- ホットスワッパブルなのでキースイッチを手ではめるだけのキーボード
- キースイッチをはんだ付けするキーボード
- キースイッチだけでなく実装部品もはんだ付けしないといけないキーボード
- 手配線の(基板なしでキースイッチ間を自分で配線していく)キーボード
製作難易度順とかんたんに言っちゃってますが、3と4の間には結構な溝があります。 この記事を見るような人が手配線を考えるはずもないと思いますので、PCBにはんだ付けするキーボード前提で、1~3までのキーボードを作るにあたって用意すべきツールの説明を。
※この記事ではキースイッチやキーキャップ等のキーボード製作毎に必要となるパーツ類については触れていません。それらはツールではなく個別に準備しないといけないものですので……
準備するもの
1. ホットスワッパブルキーボードの場合
作りたいキーボードがPlanck Rev.6やUT47.2なんかのキースイッチをスワップできるタイプのものであれば、キースイッチとキーキャップさえあればキーボードが出来上がります。特に何も必要ではないです。キースイッチを交換するときのために、引き抜き工具を用意するくらいでしょうか。
2. キースイッチをはんだ付けするだけのキーボードの場合
Rev.5までのPlanckや、GH60,XD64,DZ60などの、キースイッチ以外の部品が予めPCBに実装されているタイプのキーボードの場合は、キースイッチの足2本をはんだ付けする必要がありますので、はんだ付けのためのツールを準備します。キースイッチLEDに対応したPCBの場合は2本足のLED(3mm or 1.8mm or 2x3x4等)を付けることになりますが、その場合もこれらがあれば製作できます。
はんだごて
温度調整機能が付いたはんだこてがおすすめです。初心者ほどちゃんとしたはんだこてを買わないと、後悔することになります。私は白光のFX600を使っています。
こて台
はんだごてをそのへんに置くのは安全や火災予防の観点から絶対NGです。コテ先の掃除ができるタイプのものなら、はんだ付け作業をする直前にこて先をきれいにできるのでいいです。
1.6Dこて先 または 2Cこて先
はんだごてを買った状態でついている円錐形よりも接触面積が稼げるため熱伝導性が高いこて先です。基板面のランドとキースイッチの足を素早く温めてはんだの濡れを良くします。つまり、カンタンにはんだ付けできるようになります。安いものですし、初心者の方は絶対に買うべきです。
作業マット
机の上でやるにしても燃えないマットが必要です。作業マットは細かな部品をまとめておくエリアも設けられていますので作業効率が上がります。
0.8mmの太さの60/40糸はんだ
糸はんだです。キースイッチを付けるだけならPCBのランドも広いですし、太さは1.0mmでもいいです。先々実装部品をはんだ付けするキーボードにもチャレンジしたいなら、0.8mmがおすすめです。ダイソーにも売っています。十分使えます。
はんだは大きく分けて有鉛はんだと鉛フリーはんだの2種類があり、健康にいいのは鉛フリーはんだなのですが、はんだ付け温度を高くしないとしけないため、低めでできるので有鉛はんだの方が初心者向けです。私は有鉛はんだしか使ったことがないのでよくわからないのですが……はんだ吸い取り線とかはんだ吸取り器とか
はんだ付けというのは、失敗するときは失敗します。で、リカバリしようと思ったときにはんだを吸い取る必要があるんですが、そのときにはんだ除去ツールが無いと詰みます。
3.実装部品をはんだ付けするキーボードの場合
ProMicroと呼ばれるmicro USB が付いた小基板や、ダイオード、抵抗といった部品をPCB(基板)に実装するためにはんだ付けをしないといけないキーボード(HelixやErgo42,crkbd,Mint60,Fortitude60,Let's Split,Iris,Nyquist,etc...)の場合は、上記に加えて以下のようなものが必要です。
ニッパー
ダイオードや抵抗の長い足(リード部品のリードといいます)をカットしたり、ProMicroを付けたピンヘッダーの余りをカットしたりで必要です。リード部品の足は細いですが、ピンヘッダーは1mm程度の太さがありますので、銅線切断能力が1.2mm以上はあるものが望ましいと思います。フジ矢のスモールニッパーは確実に切れて使いやすいです。 リード部品の足をきれいにカットしたい、というなら、エンジニアカッターもいいと思いますが、切断能力が銅線0.6mmのため、リード部品の足以外はカットしないほうがいいです。ピンヘッダーを切ろうとすると多分すぐにイカれます。
テスター(デジタルマルチメータ)
はんだ付けした部品がちゃんと電気的にくっついて導通しているか、とか、抵抗値を測ったりするのに使います。はんだ付け状態が適切か否かは見た目だけではわかりませんので、テスターを使用して確認します。スイッチを付けては見たものの、特定のキーが反応しないといったよくある不具合の原因を調べるのにもテスターが役立ちます。
フラックス
やにです。PCB面の「ランド」と呼ばれるはんだがくっつく金属面、パーツのはんだ付けしたいところに塗布すると、驚くほどスムーズにはんだ付けできます。HelixのRGB LEDの4極はんだ付けの際には大活躍しました。SMDダイオードを付ける際も作業性が上がるはずですので、一つ持っておくといいです。
フラックスは糸はんだにも含まれているのですが、長い時間はんだごてを当ててフラックス成分を飛ばしてしまうと、はんだにツヤがなくなり、ツノが生えたようになってしまうことがあります。そのような場合にもはんだにフラックスを塗布することで、はんだのツヤが戻り作業しやすくなります。ピンセット
SMDダイオードを付ける際などに活躍してくれます。またProMicroをPCBにはんだ付けする前にPCからファームを書き込んだりする際にも、ショートさせるために使えたりします。
サンハヤトのリードベンダー
リード部品の足をきれいに曲げるときに使えます。無くても全然なんとかなりますが、私はリードベンダーにダイオードをセットして一つ一つ足を曲げているときに心の平安を感じますので、買ってよかったなぁとしみじみ思います。
-
Underglow(アンダーグロウ)と言いますが、基板の底面にRGB LEDストリップテープを配置して綺麗に光らせたりすることがあります。その際にテープにはんだ付けを行うために配線を剥く必要があります。カッターでももちろん剥けますが、力加減によっては誤って芯線の一部を一緒に切ってしまったりして、そのためにやり直すと長さが足りなくなってしまって結局また~~、みたいなことになりがちなので、ワイヤーストリッパーがあるととても楽です。挟む→握る→剥ける。
以上、国内で入手性の良さそうなツール・工具を紹介させていただきました。自作キーボードがんばっていきましょう!!