自作キーキャップの下型についての考察

はい皆さんこんばんは、@hdbx です。今夜もよろしくおねがいします。

この記事は、自作キーボード Advent Calendar 2018 その3の6日目として書かれました。 adventar.org

(L2K ADAPTERSの話の続きですので、まず↓をお読みください)

hdbx.hateblo.jp


キーキャップを作っている過程において、避けて通れないもの

気 泡

L2Kで作った上型と下型を使って、UVレジンでキーキャップをつくるときって、そのまま貼り合わせるとガンガン気泡ができるんですよね。

「気泡は個性」とか言って強がってた時代もあったのですが、やっぱり余計な気泡は無いに越したことはない、というのが真っ正直なところなのです。

また、粘度のあるUVレジンはいいとしても、シャバシャバとした2液レジンを扱おうとすると、やはり塗ってから上型と下型合わせるのではなくて注型、つまり注ぎ入れるやり方でないと、貼り合わせのときに流れてしまうので、キーキャップが作れないわけであります。

そこで今回は気泡が入りにくくて注型できる型について考えます。

試行1:型取り後に穴を開ける

上型は、通常のキーキャップにせよArtisanキーキャップにせよ、なめらかだったり造形されてたりするので、そこに注ぎ入れるための湯口を作るというのは現実的ではありません。*1そうなると、キーキャップの上下を逆にした状態の型に、上から注ぎ入れることが必要です。

上下逆の状態で上から、ということは、つまり下型に「穴」が必要ということになりますよね。

ということで最初に試したのは、

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電動ハンドリューターでキーキャップのコーナー4箇所に穴開け
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試してみた
この方法で、キーキャップの側面についてはうまく気泡を入れないように作ることができました。(この写真は完全に失敗してますが)

しかし、ハンドリューターで開けた穴は、すべすべ滑らか真っ直ぐな円柱にはなっておらず、型から抜くときにやや無理抜き気味の抵抗がありまして、型の寿命を縮めそうでした。また軸受けについても同様に湯道があるほうが良さそうということもわかりました。

試行2:先に湯口と湯道を確保してシリコン型を作る

きれいな湯口と湯道を実現するには、やはりシリコン型を作るときに準備しておかねばならないようだな……

そう思った私は、おもむろにプラモ製作材料庫から、プラストラクトの1.5mm六角プラ棒、というマイナーなものを見つけてきて、それを原型用のマスターキーキャップにエポキシ接着剤でくっつけたのでした。

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キーキャップにプラ棒を固定
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そこにシリコンを注入
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出来上がり
これが結果的にはいい感じでした。まぁ、海外のキーキャップ作ってる動画とか見てると同じ感じのが割と多かったりするので、メジャーなメソッドなのかもしれないんですが……

こちらは上のものとは違う型で、もう少し湯口を広くしたほうがいいのかも、と思って1箇所だけ3mmの丸プラ棒にして作ったものです。

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出来上がった下型と抜いてみた結果
3mmはちょっと太すぎたようで、粘度があるUVレジンなどはいいのですが、ハイキャストのようなシャバシャバの液体を注型するときは、ちょっと途中で注ぐ勢いを緩めると途端に気泡が混じってしまったりしました。今は2mmの丸プラ棒を使っています。

キャスト後の整形

以上のような方法でつくったキーキャップの仕上げ方法です。

余分をデザインナイフでカットして……
f:id:hdbx:20181202205800j:plain 底面を平ヤスリやスリスリBARできれいに均して……

f:id:hdbx:20181202210355j:plain ※スリスリBAR最高にオススメです

シモムラアレック 職人堅気 スリスリBAR プラモデル用工具 AL-K40

シモムラアレック 職人堅気 スリスリBAR プラモデル用工具 AL-K40

はいできあがり!
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とまあこんな感じで、楽しい自作キーキャップライフを送っております。

気付けば今年も残りはあと僅か。来年も楽しい自作キーキャップライフを送りたいものだと思いつつ……

「この記事はIris (Aliaz Silent Tactile w/GMK Plum and Nillpo Cable)で書きました。」

*1:やってやれないことはないと思いますが、キャスト後の処理が大変そう

届かなかったエスプレッソマシン

この記事は「届かないクラウドファンディング Advent Calendar 2018」12月5日版のために書かれました。

adventar.org

ご多分に漏れず(何が?)、私も昔はよくクラウドファンディングに参加したものです。 時期で言うと、2010年頃から2012年頃が多かったでしょうか。

前置きはこれくらいにして届かなかったもの紹介しますね。え~、これはエスプレッソマシンです。

PID-Controlled Espresso Machine ZPM Espresso

www.kickstarter.com

最近はデロンギのとかが人気なんですかね、エスプレッソマシン。価格.com を見てるとそんな感じですよね。コーヒー好きにとっては自宅にエスプレッソマシンを置く、というのが一つのささやかな夢と申しますか、そういう感じがね、あるの、わかってもらえますかね?

で、まぁ割とお高いんですよね。Rancilio Silviaとかね。La Pavoniとかね。まぁ人気どころのやつは当時から大体10万円オーバーでした。


で、エスプレッソというのは高温のお湯を高圧でシュバァァッ!!ってやって作るものなのですが、その湯温制御をサーミスタのON/OFFで行うタイプと、より最適な湯音調整が可能なPID制御で行うタイプと、がありましてですね(このあたりはもう記憶も曖昧ですが……)まぁ後者の方がもちろんお高いんですよ。

で、このマシンは、$400もしないのに、そのPID制御ができるスグレモノなわけです!!

もう出資しない理由が見当たらないじゃないですか!?

その後の出来事

2012年 1月

1台手に入れるべく、$370ほど出資しました。まあ当時のUSD/JPYは78円くらいでしたからね。3万円ほどですね。

出荷予定は2012年の12月です。もうワクワクです!!

2012年 4月

お決まりの当初デザインからの変更のアップデート(CoolなグリーンのOLEDがチャームポイントだったのに、LCDスクリーンへ)に、バッカーたちから罵声が飛びます。また試作タイムラインも当初見積もりから数週間ずれ込むよ、とのご報告。

2012年 7月

全く試作の状況も見えないというか教えてくれないのに、のんきなオンラインMeetingを行うというアップデート。「本当に予定通りの日程でモノ届くのかよ!?」というバッカーからの当然の突っ込みがコメント欄に目立ってきます。

2012年 9月

ようやく肝心のハードウェアに関わるアップデートがありました。試作基板を写真付きで紹介し、工場がある中国へ行ってくるぜ!という内容。

バカなバッカーたちは一様にホッと胸を撫で下ろしました。「その調子でやってくれよな!」「くそ!俺は赤いのを頼むべきだったぜ!今からでも筐体色は変えられるのかい?」という心温まるコメントを見ると頬に温かい水が流れます。

2012年 12月

UL認証だのファームウェアの開発だの、いろんな山積みの問題はあるんだけど、そいつは大したことじゃあない。だが、急いでダメな製品を世に出すのは良くないだろう?わかってもらいたい!申し訳ないが予定が後ろにずれ込むんだ……という長文アップデート。

新しい出荷予定は2013年4月下旬~6月上旬になりました。バッカーはまだ彼らのことを信じています。

2013年 4月

UL認証不合格と数々のQC Issues……モノ作るってレベルじゃねーぞ!という写真が示され、しかしバッカーたちは正直に状況を見せてくれる彼らのことが大好きでした。タイムラインを引き直さなきゃいけないんだ……という彼らの言い分にも寛容に理解を示し、その割に彼らは新しいタイムラインをなかなか見せてはくれませんでした。まあ、その後、カラフルな試作筐体の写真がアップされたりして、障害はあるものの着実に前進しているように思えたんですよね、当時は。

2013年 7月

新しい出荷スケジュールが発表されました。

2013年9月下旬~10月下旬です。楽しみですね。

2013年 12月

なぜか最初は50台の試作を出荷して、それらをベータテスターがチェックするというよくわからない流れになっていました。UL認証には未だ合格していません。

2014年

ベータマシンが予定通り動いていなかったり、UL認証テストで最後のテスト項目をやり直せと言われたり、色々な理由を付けられてのびのびです。

2015年 1月

前年12月にCOOを努めていた人物が突然会社を去り、このプロジェクトを整理せざるを得ないことが通達されました。返金ももちろん無理とのことです。

すでに前年あたりから不穏な感触を掴み取っていたバッカーたちからは145件のコメントが付き、プロジェクトは終焉を迎えたかに思えました。

2015年 3月

まだプロジェクトは死んじゃいない。まだ決まってはいないから何も言えないけど、このプロジェクトを軌道に乗せるための動きがあるんだ!きっとそのうちいい報告ができると思うよ!という予期せぬアップデート。もう諦めていたのに、そんな期待をもたせるようなことを言うんじゃないよ……

2015年 10月

Decent Espresso ってところに彼らがやろうとしたことのIPと出資者のメーリングリストを売り渡して、そこから$200だかのバウチャーコードあげるから、ウチの$800のエスプレッソマシンをオトクに買えまっせ!というクソofクソのようなアップデート。実際、知りもしないその業者からメールが来ました。誰が買うか!!!本当に後味が悪い終わり方しました……

まとめ

この頃のKickstarterはまだレンダーだけでもProject立てて集金できてたあたりだったかと記憶していて、特にハードウェアはProject成立後の製品化成功率がひどかった時期です。いい夢見させてもらったぜ!あばよ!!って感じですね。この記事でようやく供養できました。な~む~。

L2K ADAPTERS で Artisanキーキャップ を作ろう

はい皆さんこんばんは、@hdbx です。今夜もよろしくおねがいします。

この記事は、自作キーボード Advent Calendar 2018 の3日目に、自キャ沼への誘いを主な目的として書かれています。 adventar.org

(L2Kをご存知無い方は、まず↓をお読みいただくことをオススメします。)

hdbx.hateblo.jp


オリジナルのArtisan(アーティザン/アルチザン)キーキャップを作ってみたい

Artisanキーキャップ、いいですよね。見てるだけでも楽しいです。でも、自分で作れたらもっといいよなぁ。キーキャップの複製をしているうちに、こういう思いが湧き上がってくるのは至極自然なことですよね。

朧げだったArtisan製作の夢が、L2Kで遊んでいるうちに、「Artisan製作、割と現実味あるんじゃないの?近くに来てるんじゃないの?あと少しなんじゃないの?」と感じるようになってきたわけです。

じゃあ、どうすれば作れるか考えてみようじゃないかと。

どうやってArtisanを作るか

L2Kで遊んだので、既存のキーキャップの軸受けを流用してCherry MX軸が作れることはわかりました。では作らないといけないのは上の型です。どーいうもんでもって、あんなクリーチャーやらオモロイカタチを作るんやろ?

私はTwitterで聞いたりRedditやgeekhackを検索したりググったりしまくり、とりあえず一つの解答に辿り着きました。

樹脂粘土

スカルピーやオーブン粘土と呼ばれる、常温でこねくり回してる間は柔らかいけど、オーブントースターで焼くとカチカチに固まる粘土です。焼かない限り固まらないので、時間の制約を受けずに納得出来るまで造形できるそうです。いいじゃないですか。

樹脂粘土と言ってもたくさん種類がありますが、今回選んだのはグレイスカルピーという粘土です。

プラモデルの塗装前に吹き付けるサーフェイサーの定番色でもある「グレイ」という色は立体物の陰影がわかりやすく、傷や凹みも含めて造形の詳細を確認するのに適しています。また硬化後の処理のし易さ等の評価も良かったというところが選択の決め手となりました。

グレイスカルピー 454g

グレイスカルピー 454g

  • メディア: おもちゃ&ホビー

温度調整機能付きオーブントースター

樹脂粘土を硬化させるためにはオーブントースターが必要です。グレイスカルピーの場合は130℃で、というような温度の指定がありますので、温度指定ができるものでないと安定して焼成することができないそうです。また、焼くときに謎の化学物質が発生するという話も見かけましたので、キッチンのオーブントースターとの共用は絶対にダメらしく。

タイマーもできれば30分まで設定できるものの方が良い*1、というような意見も見かけた気もしましたが、予算と自分の部屋のスペースの都合に折合いをつける過程で見なかったことにして、最終的にはコイズミのKOS-1013/Sを買いました。今はもう廃盤なのかAmazonでは見当たらないので、これなんかがいいんじゃないかと思います。

造形のための土台作り

粘土をこねてキーキャップを作るとなると、手持ち出来る土台を作る必要があります。いろんなやり方があるとは思いますが、私は手元にあった1mm厚のプラ板を使うことにしました。

キーキャップのサイズの目安にならないと意味がないので、まずプラ板を18mm角でカットします。*2四隅はちょっと丸めたほうがいいです。そして割り箸をカットして両面テープでくっつけて持ち手にしました。

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プラ板をカット
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造形してると大きくなりがちなので気持ち小さめが良さそう
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割り箸で持ち手を付けた

造形する

作った土台の上にグレイスカルピーを適量のせて、いよいよ粘土遊び開始です。キーキャップの造形に使用するスカルピーの量はほんのちょびっとなので、グレイスカルピー一つ買えば毎週新しいキーキャップを造形しても一年分はあるんじゃないかと錯覚するほどです。ナイスコスパ

つまようじやタミヤの調色スティック、プラスチックスプーンなど、使えそうなものを利用して心ゆくまで造形します。ここで有無を言わさず己の持つ造形力やセンスが顕になります。他人様の作品はできるだけまともには見ないようにしましょう。(なんとこの項目写真なし!)

オーブンのセッティング

造形に納得したら、焼成して粘土を硬化させますが、その前にオーブンのセッティングが必要です。

粘土に直接ヒーターを当てると焦げますので、上面はアルミホイルで半ドーム型のようなものを作り、底面はその辺りに転がっていた端材の板を置きました。

燃えませんように……*3

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小改造された我がオーブントースター
前面扉の引掛けを外してフルオープンできるようにして、扉側にプラモデルに仕込む用のハイキューパーツだったかの1mm厚の薄い磁石を3箇所付けて、ちゃんと閉まるようにしています。

130℃で焼く

130℃に温度目盛を合わせ、15分ほど焼きます。

焼いている間は独特の匂いが漂いますので、ちゃんと換気しましょう。初めて焼いたときは、「ああ、これキッチンでやらなくて良かった……」と安堵しましたね。その程度には匂いが出ます。

造形チェックと修正

焼き上がって冷めたらオーブンから取り出し、造形のチェックを行います。

グレイスカルピーは硬化すると、一般的なプラモデルより少しだけ柔らかめのプラスチックくらいの硬さになります。表面処理を行う場合は紙やすりよりは各種スポンジヤスリ(600番相当~3000番相当)がおススメです。またカットやバリ処理はデザインナイフで行えます。

またエナメル溶剤で溶ける特性がありますので、表面を滑らかにしたり、溶剤を塗布してさらに粘土を増し盛りして再造形する、なんてことも可能です。

タミヤカラー エナメル X-20 溶剤大びん

タミヤカラー エナメル X-20 溶剤大びん

  • メディア: おもちゃ&ホビー

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好きに造形した結果

底面をくり抜いてL2Kにつける

硬化したキーキャップ原型が出来たら、L2Kに固定しましょう。

L2K側には中央に軸がありますので、そこにハマるようにデザインナイフ等で原型の底面を掘ります。

L2Kへの固定は薄い両面テープを使用しました。

出来るだけL2Kの中心に原型を配置して固定しないと、下側の型で軸受けがズレてしまうので気をつけます。

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底面を掘りました

型取り

透明シリコンで型取りします。

現在は、硬化液とシリコンを混合後、真空保管庫に入れて200回シュコシュコして減圧。10分程度経ったら出して注入、というのが安定して気泡が入らないモールド製作メソッドになりました。

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シリコン沼の中の蛙
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蛙入り寒天

DSAキーキャップの下型と組み合わせて注型

シリコンが固まり、余分なカスを取り除けば上型の出来上がりです。

下型は高さがあまりないDSAやXDAのキーキャップで作ったものが適しています。下型の作り方は前回記事をごらんください。Artisan自体に高さがあれば、CherryプロファイルでもSAプロファイルでもなんでもいいとは思いますが。

Artisanキーキャップ完成!!

UVレジンや、エポキシ系またはポリウレタン系の2液レジンなどを型に流し込んで硬化させたら、念願のArtisanキーキャップの完成です!感動!!

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記念すべき蛙Artisan第一号!

まとめ

Kawazu photo by @nillpo

なんだかアドベントカレンダー用の記事として相応しいのか?という気もしないでもないですが、いかがでしたでしょうか?

Artisanキーキャップ、作ってみたくなりましたよね!?
ぼやぼやしてるんじゃない、さっさとスカルピーとオーブントースターを買いに行くんだ!!

「この記事は前半をHelix carbonite (Outemu Ice V2 Clear Lubed w/Carbon SA Keysap)、後半をIris (Aliaz Silent Tactile w/GMK Plum and Nillpo Cable)で書きました。」

*1:スカルピーの厚さによっては30分程度焼かないとちゃんと硬化しないらしいです。Artisanキーキャップの場合はそんなに大きなものを造形しないので、まぁいいか、と。

*2:MX互換スイッチのキーボードのキースイッチは一つ約19mm四方で設計されています。どこにArtisanキーキャップを配置するかにもよりますが、大きすぎると隣のキーキャップと干渉しちゃいますので、ほどほどの大きさにしておく必要があります。

*3:木材板を置くのはとても非推奨です。燃えないもので良さそうなものをどなたかご教示くださいませ……

BlocKeyというアクリルキーホルダーを組んだ

こんばんは、@hdbx です。今夜もよろしくお願いしますー。

さて、以前キットを購入し、なんやかんやと忙しくて積みキーとなっていたBlocKeyを最近になってようやく作りました。

  • BlocKeyとは
    ゆかり (@eucalyn_) | Twitterさんが開発された、超絶かわいいアクリルキーホルダーです。
  • 組み立てキットは↓で販売されています。私はマットクリアを購入しました。 eucalyn.shop

  • 使用しているツール類はこちらの記事をご参照くださいませ。 hdbx.hateblo.jp

  • キースイッチの色や見た目を自分好みにしたかったので、キットに付いてくるものとは別に、7mm高の4pin color tact switchとか、transparentな6*6mm round button capなんかをAliExpressで購入して使用しています。

まずビルドガイドと基板を眺める

ビルドガイドはBlocKey組み立ての手順 - ゆかりメモ です。一通り最初から最後まで目を通しておきます。

基板はちっちゃくてごちゃごちゃしてます。どこにどういう部品が配置されるのかよく見ます。このときケースも配置してどこにアクリルが乗るのかとかも見ておくべきです。見ておくべきだったなぁ……
あ、いつものように作業に入る前に、先にProMicroのモゲ防止 は施していますよ。
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ダイオードをはんだ付け

D59は方向が違うので注意です! f:id:hdbx:20181126004606j:plain

ピンヘッダーをはんだ付け

こんな感じで仮固定してみて、
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ピンヘッダーのピンが基板から突き出さないようにニッパーでカット

ピンをカットしてないのでこれは悪い例です。カット後、両端の1ピンだけをはんだ付けして、基板からの浮きや方向のズレが無いように調整してから、残りをはんだ付けします。 f:id:hdbx:20181126005111j:plain こんなに突き出てるのは論外なのです。 f:id:hdbx:20181126005316j:plain がんばってカットしたけど、これでもダメなのです。繰り返しますが、先にピンヘッダーを基板から突き出さないようにカットしてからはんだ付けしてください。 f:id:hdbx:20181126005403j:plain ここのピンはアクリルケースに干渉します。完全に基板とツライチにしないとケースが浮きます。 f:id:hdbx:20181126011748j:plain

リセットスイッチをはんだ付け

4箇所付けます。表面実装ダイオードと同様に、片方2つのパッドに予備ハンダしてから上から押さえる感じで付けます。 f:id:hdbx:20181126005539j:plain

キースイッチ(タクトスイッチ)をはんだ付け

ピンヘッダーで横着した結果がこのがちゃがちゃに傾いたキースイッチです。なんとかせねばなりません。 f:id:hdbx:20181126005901j:plain ピンヘッダー側はもうこれ以上ニッパーでは処理できなさそうなので、スイッチの底面をホビーやすりとデザインナイフで削りました…… f:id:hdbx:20181126005857j:plain オッケーオッケー!! f:id:hdbx:20181126005840j:plain こんな感じの色でいきます!ということで、背面から黙々とはんだ付けします。一つのスイッチに足が4本あります。はんだ付けの際は見えない裏側のスイッチを意識しつつ、4本づつ丁寧に、隣のパッドとブリッジしたりしないように気をつけながら作業していきます。 f:id:hdbx:20181126010238j:plain ProMicroと干渉しないように、キースイッチの足を短く切り落とします。 f:id:hdbx:20181126010458j:plain

ProMicroをはんだ付け

ProMicroと接触してもショートしないようカプトンテープを貼っておきます。 f:id:hdbx:20181126010629j:plain ピンヘッダーの余分をProMicroとツライチの長さでニッパーでカット。 f:id:hdbx:20181126010651j:plain はんだ付けしました。ボトムプレートに対してちゃんとクリアランスが確保できたっぽいです。 f:id:hdbx:20181126010917j:plain

Underglowテープをはんだ付け(光らせない場合は不要)

テープの裏面にはクッション両面テープを貼ります。 f:id:hdbx:20181126011008j:plain 最初はこんな感じで配置してたんですよね…… f:id:hdbx:20181126011141j:plain テープと電線に予備はんだをしてですね…… f:id:hdbx:20181126011300j:plain よっしゃ!でけたで!!ってね…… f:id:hdbx:20181126011241j:plain !!!盛大にケースに干渉してしまうことが発覚…… f:id:hdbx:20181126011341j:plain 一番キツいところを思い切ってハサミでカットしちゃったりしてみました(推奨しません) f:id:hdbx:20181126011516j:plain なんとか収めた f:id:hdbx:20181126011610j:plain

LEDが増えたのでQMKを修正

勢いに乗ってLEDテープをガッツリ14個も配した手前、ちゃんと設定しないと4つしか光りません。(もともとキットには4つしか入ってないので)

QMK firmwareのdefaultキーマップをコピーして自分の名前に変えたやつを設定してたんですが、defaultフォルダ内には個別のconfig.hがなかったので、自分のキーマップに上の階層にあるconfig.hをコピーして持ってきて、 18,19行目を

#ifndef CONFIG_USER_H
#define CONFIG_USER_H

としてやって、自分キーマップ用config.hを適用し、さらに55行目あたりでdefaultの4個を14個に改めるべく、

#undef RGBLED_NUM
#define RGBLED_NUM 14

と書き加えてやりました。 ビルドして焼いていよいよ完成です。

完成

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#旅するキーボード
😃

L2K ADAPTERSで好みのキーキャップを複製して遊ぶ

「キーキャップおもしろ!自分でキーキャップ作ってみたいなぁ! 」 と思い始めたときに、「L2K ADAPTERS」なるものを、Redditr/MechanicalKeyboardsのスレッドで見つけました。

L2K ADAPTERSとは?

f:id:hdbx:20180905182329j:plain この写真に写っている何やらよくわからん土台から軸だけ生えている謎物体がL2K ADAPTERSです。左が1UのMX軸用で右がKailh Lo-Pro軸用。

「L2K」という名称は「LEGO to Keycap」の略です。LEGOを使ってキーキャップを作ろうぜ、というそのものズバリネーミング。
MX軸やAlps軸、Kailh Lo-Pro(Choc)軸、Topre(東プレ!)軸と、現在のキーボードの主流を占める4種類のスイッチに対応しています。

入手方法ですが、今のところは公式サイトのリンク先にあるShapewaysで3Dプリントをオーダーして購入する方法しかありません。私が注文したときは、オランダからの送料が$26くらいかかったのでTwitter共同購入を持ちかけて購入しました。

名称に関して、ADAPTERSを付けると長いので、以降本ブログでは「L2K」と呼称します。

特徴

  • LEGOのベースプレートにはめて使用し、上下の型の嵌合にLEGOの突起(スタッド)を使用する。
  • 出来上がる型は全てLEGOのスタッドではめ合うため、上型と下型を自由に組み合わせ可能。つまり、SAプロファイルの上型とKailh Lo-Proスイッチの軸となる下型を組み合わせて、ロープロ向けの背の高いキーキャップを作成するための型、のような使い方もできる。
  • 1Uのキーだけではなく、1.25U以上の大きなキーや横長のスペースキー、ISO Enterキーにも対応。*1

用意したもの

項目 品番・注記 金額 購入場所
1UのMX軸スイッチ用L2K L2K- MX-03 $8 Shapeways
LEGOベースプレート 8×8 息子から拝借 ¥152 Amazon.co.jp
LEGOブロック 2×6を12個 息子から拝借 ¥50 × 12 Amazon.co.jp
ボークス造形村 透明シリコン1kg(硬化剤付き) - ¥4,990 Amazon.co.jp
Mr.シリコーンバリアー VANCE VM008 ¥857 Amazon.co.jp
加藤産業 真空保存庫 VL-2B ¥1,296 Amazon.co.jp
加藤産業 真空保存庫用ポンプ VP-1B ¥548 Amazon.co.jp
デジタルスケール 0.1g単位が量れるもの ¥799 Amazon.co.jp
紙コップ - ¥108 ダイソー
スポイトまたはストロー 硬化剤を0.1g単位で垂らす用 - -
つまようじ 軸受に液を垂らす用 - -
小筆 シリコーンバリアー塗布用 - -
筆洗い用シンナー シリコーンバリアー除去 - -
竹串(割り箸でもOK) - ¥108 ダイソー
木製粘土べら(割り箸でもOK) - ¥108 ダイソー
UVレジン液 - ¥108 ダイソー
UVランプ(36W) - ¥1,560 Amazon.co.jp

型の作成手順

1. 複製したいキーキャップを決め、L2Kにセット

L2Kの軸が折れたという報告をいくつか見かけましたのでキャップにはめるときにキツい場合は、L2Kの軸を予めホビーヤスリなどでヤスって抜けやすくしておいた方がいいかもしれません。私は軽くヤスりました。

また複製のベースとなるキーキャップはできるだけ軸がキツめで(未使用とか)、綺麗な無刻印キーキャップが望ましいと思われます。
軸はゆるいものをベースにすると、当然出来上がってくるキーキャップの軸もゆるいものになってしまいますし、ダブルショットの文字入りキーキャップをベースにすると、軸側(下側)の型に、文字用の模様が残ってしまいます。

2. L2KをLEGOのベースプレートにはめ、周囲をレゴブロックで囲む

f:id:hdbx:20180905185028j:plain L2K-MX-03(1UのMX軸用L2K)にDSAプロファイルのキーキャップを付けた状態。
上部シリコンの型取りサイズとしては、LEGOスタッドで5x5、高さが2つ分になりますね。 なおLEGO、L2K、キーキャップともにシリコンに貼り付くものではないため、シリコーンバリアーの塗布は必要ありません。

3. シリコンの必要量を計算する

必要となるシリコンの体積は計算で求められます。空間を実測すると、4cm x 4cm x 2cm = 32mlから、DSAキーキャップの体積分を抜けばいいくらいでしょうか。
このように計算してももちろんいいのですが、Twitterで @riv_mk さんが、SILICON CALUCULATOR というシミュレーターを発見してくれていました。


今回の例で使い方を説明すると、以下のようになります。

  1. Box LengthとBox Widthにそれぞれ「5」を入力して、Box Heightを「2Brick」にして、「NEXT」
  2. Profileは「DSA」で、「1u」、L2Kは「03」で「NEXT」
  3. MOLD PART1でOvermix percentage(無駄になる分)のスライダを10%にすると、Silicone Volume: 28.99mlと表示され、上部で約29ml必要とわかります。さらに「NEXT」
  4. MOLD PART2でBrickの高さ「1.5」を選ぶと、下部で必要になるのが28.96mlと表示されます。*2

4. 透明シリコンを準備する

f:id:hdbx:20180905191934j:plain 造形村の透明シリコン、硬化剤、デジタルスケール、紙コップ、竹串を用意しました。
このシリコンの硬化剤との配合比は10:1ですので、今回は主剤27gと硬化剤2.7gの合わせて29.7gで臨みました。

デジタルスケールに載せた状態でスタートし、主剤を竹べらで垂らしながら紙コップに入れてから、硬化剤をスポイトで必要量垂らし、目的の容量になったら、竹串でぐるぐるとよくかき混ぜます。泡だらけになりますが、どうせ後で脱泡するので気にせず混ぜ合わせます。

5. シリコンを流して、真空保存庫で脱泡する

f:id:hdbx:20180905193226j:plain シリコンをLEGOの囲いに流し込みます。真空保存庫で脱泡する際、液面が上がってこぼれますので、この写真くらいの分量までで留めておいた方がいいです。これでも多いくらい。
なお、流し込む前に硬化剤と配合したシリコンを真空保存庫で脱泡する方法もあるようです。今回のベースプレートは丸ごと入るので試していませんが。 f:id:hdbx:20180905193448j:plain 真空保存庫とシュコシュコです。 f:id:hdbx:20180905193239j:plain 丸ごと真空保存庫の中に入れ、シュコシュコして減圧します。私は120回くらいシュコシュコやって引張抵抗がけっこうきつくなってきたところでやめて、その状態で15分放置しました。(実は1回目は減圧が足りず、脱泡しきれず失敗しました)
(※その後真空保存容器の密閉度合いが下がってきたのか、120回では気泡が残ったりしたので、今となっては230回くらいシュコシュコやってます……)

f:id:hdbx:20180905193252j:plain このシリコンは硬化剤を入れてから30分くらいで表面から硬化が始まるので、15分後に気泡が少し残った状態で真空保存庫から取り出します。しばらく待っていると、なぜか泡が綺麗になくなりました。

この状態でシリコンの硬化を待ちます。説明では硬化時間は24時間ということですが、室温28℃ 湿度60%の状況では、12時間もかからず問題なく硬化するようです。

6. 埋まったキーキャップとL2Kを取る

f:id:hdbx:20180905194652j:plain L2Kの底面にもシリコンが入っています。 f:id:hdbx:20180905194734j:plain キーキャップの中にまでシリコンが詰まっていました。外す際にはL2Kの軸を折らないよう気をつける必要があります。(その予防で軸を少し削っていますが) f:id:hdbx:20180905194928j:plain 続いて下部のシリコン型を作成するため、出来上がったシリコン型の中に元通りキーキャップを戻します。*3

7. LEGOの壁を作って再度埋めてシリコーンバリアーを塗布

f:id:hdbx:20180905195133j:plain 順番的にはまずシリコン型を置いて、周囲にLEGOブロックを配置した方が、シリコン型の歪みが出にくいと思います。 f:id:hdbx:20180905195233j:plain このままシリコンを流すと、上下のシリコンが融合して、キーキャップを取り出すためにはシリコン型を破壊しないといけなくなるため、筆でシリコーンバリアーをキーキャップ以外のシリコン部分に塗布していきます。

塗ったところから速乾で乾いていきます。スタッドの穴や壁にもちゃんと塗ります。

8. LEGOブロックにセットしてシリコン注入、脱泡、硬化待ち

f:id:hdbx:20180905195552j:plain 脱泡過程で軸受けの中にもちゃんとシリコンが入っていくとは思いますが、念の為先に爪楊枝で軸受けの中にシリコンを垂らしておきます。 f:id:hdbx:20180905195719j:plain 脱泡して放置後、気泡が消えた状態です。やり方は上部型のときと同じ。硬化を待ちます。

9. 上と下にシリコンを分けてキーキャップを取り出す

f:id:hdbx:20180905195807j:plain キーキャップ入りの寒天和菓子が出来上がりました。
見た目は上下が一体化していますが、ちゃんとシリコーンバリアーを塗布できていれば、気持ちよく上の型と下の型に分かれます。 f:id:hdbx:20180905195919j:plain できた! f:id:hdbx:20180905195954j:plain 下部はこんな感じ(ホコリが汚いですが、あとでゲルクリーナーで綺麗にしました)

以上、型取り編でした!

続いて、UVレジンキーキャップ作成編へ

型からキーキャップを作る手順(UVレジン使用)

1. UVレジンをシリコン型の軸の中とキーキャップ側に注入する

f:id:hdbx:20180905200546j:plain ダイソーのクリアブルーです f:id:hdbx:20180905200601j:plain 気泡が……ちなみにこの気泡は真空保存庫では消えませんでした……

2. 軸受け側(下:Bパーツ)にレジンを入れ、UVランプに3分程度入れて硬化させる

3. 表面側(上:Aパーツ)にレジンを入れて、先に硬化させた軸受け側の表面にも少しレジンを塗って、貼り合わせる

4. UVランプに突っ込んで3分ほど待つ*4

5. 上下ひっくり返してまた3分待つ

6. 取り出してはみ出しをデザインナイフなどでカット。硬化が甘ければ再度UVランプへ。

f:id:hdbx:20180905200710j:plain 右下はダイソーのミルキーグリーン。気泡を消さねば…… f:id:hdbx:20180905200955j:plain crkbdに付けてみた。我が子、かわいいです。

以上、L2Kを使用したキーキャップ製作の解説でした!

*1:軸によってはラインナップが無い場合もあります。詳細はShapewaysで要確認

*2:シリコン材料を選ぶことで2液混合シリコンのA剤とB剤の分量表示が出たりもするようですが、今回使用した造形村の透明シリコンに合致するものはありませんでした。

*3:通常元の型からベースとなるキーキャップは外すべきではありませんが、シリコンの中に入れたままL2Kを取ることはまず無理ですので……

*4:36W出力のものだと3分程度で硬化します。出力が弱いと30分とかかかるらしいです。

crkbd (コルネ DIY keyboard) をキースイッチスワップ仕様で組んだ

@foostanさんによる42キーのスプリットキーボードcrkbdを組みました。
あいにく今は在庫切れしていますが、販売サイトはこちらです。
ビルドガイドも上記のサイトからリンクされています。

(自作キーボード初心者の方へのアドバイスです)
ビルドガイド(組立説明書)には事前に一通り目を通して、しっかり手順を理解してから実際の製作に取り掛かりましょう。間違えてはんだ付け作業をやり直すのは、面倒くさいわ基板は汚くなるわで、よろしくないですからね。失敗からのリカバリスキルが磨かれるという意味ではいい面も無いではないですけど……


では、組んでいきます。
の前に…… ProMicroのモゲ防止ついでにQMK_Firmwareを書き込む をやっておきましょう。これはもう毎回やっとくべきです。

では、組んでいきます。

キット外観

f:id:hdbx:20180729175721j:plain crkbdは、非常にコンパクトな分割キーボードです。
見た目スッキリにしたかったので、キットに同梱されているリード部品の(足が生えてる)1N4148ダイオードは使わず、別途AliExpressで調達したSMDダイオード(SOD-123 1N4148W)を使用しました。42キーのキーボードなので42個使います。
AliExpressで買ったものはこれ

SMDダイオードとは

f:id:hdbx:20180729175925j:plain そのあたりに転がっていたDSAキーキャップとの比較です。SMDダイオードは米粒よりも小さいです。
ダイオードをパッケージから出して、ピンセットで線がある方向を揃えます。写真では左側に線がある状態に揃えています。こうすることで、はんだ付け作業時に都度方向を意識する必要が無くなり、効率よく作業を行えます。
※線がある方がカソードになります。自作キーボードの基板上では●-■でよく表されますが、■の方向に線があるように配置します。

基板にSMDダイオードをはんだ付け

f:id:hdbx:20180729180853j:plain やり方は

  1. 一方のランドに予備はんだを軽く盛る。このとき基板の向きとかはんだごてを持つ手の方向とかを考えておく。(私は右手ではんだごてを扱うので、右側に予備はんだを盛ります)
  2. 左手に持ったピンセットでSMDダイオードをつまみ、基板上の予備はんだの上に足が乗るように置く。 ※線の方向が正しいか注意!
  3. ダイオードの足ごと下の予備はんだを溶かして、片側を仮付けする。
  4. ピンセットでダイオードを上から押しつつはんだごてを足とランドに当て、基板からの浮きを無くす。またダイオードの方向が斜めってたら直す。
    ※大抵浮いてるので、これをやると基板面にダイオードを押し付けられて、一段沈む感触があります。
  5. 反対側の足にはんだを盛って固定する。
  6. 予備はんだが足りていないところに再度はんだを足す。 なお、この作業をしていてはんだに含まれるフラックス成分が蒸発してしまって、はんだにツヤが無くなってツノが生えるようになってしまったら、フラックスを塗ってやると再び復活します。

↓手順の動画です。ここでは先に予備はんだにフラックスを塗ってからはんだ付けしてます。(これはHelixの基板ですが)

LEDはんだ付け作業用治具芋けんぴ)を付ける

f:id:hdbx:20180729182515j:plain RGB LEDをつけるため、キットに同梱されている作業補助治具(通称:芋けんぴ)を、マスキングテープで基板の表に貼り付けます。
各キー用のRGB LEDは、表面が光るように付けるため、LEDの裏側からはんだを行います。つまり基板の裏面からはんだ付けします。
42キーのキーボードですがLEDは56個(表42個+Underglow12個)使用します。

LEDはAlilExpressで、SK6812 3535 を買いました

LEDを並べる

f:id:hdbx:20180729183530j:plain 基板上の白い◯印のところにLEDの一番大きいランドが来るように配置します。
配置できたらLEDと基板のランドにフラックスを塗ります。基板とLEDで少し隙間があるのですが、そこをはんだでブリッジさせるには、フラックスがあるのと無いのとでは作業性が全然違います。なおLEDは熱に弱いため、はんだ付け作業は230~240℃設定くらいにして、あまり長くこてを当てないように注意しながら行います。
はんだごてにはんだを付けて溶かした状態で、LEDと基板をなでて、引きはんだで付けるのがやりやすいと思います。私は2箇所ずつに分けて行いました。
底面用の6箇所はビルドガイドを見ながら治具無しで気合で付けます。
@foostanさんによるLED付け作業のコツ

テスターでダイオードの導通を確認

f:id:hdbx:20180729184250j:plainf:id:hdbx:20180729184627j:plain この辺でちゃんとはんだ作業できているか確認するため、テスターを当てて導通をチェックしました。
まずダイオードについては、crkbd rev.1のconfig.hによると
#define MATRIX_COL_PINS { F4, F5, F6, F7, B1, B3, B2 }
と記載されているので、写真のようにF4から順番に該当列の一番下のスイッチにテスターを当てて、導通チェックしました。
あれ、crkbdは6列だからB2使ってないんじゃないのかな?よくわかりません。下写真のように、B3までで全部確認ができました。
ダイオードが正常に取り付けできていない場合は、導通が途中で途切れていますので、一つ上のスイッチから順にチェックすることで異常箇所を見つけられます。

テスターでLEDの導通を確認

f:id:hdbx:20180729195932j:plainf:id:hdbx:20180729195958j:plain RGB LEDの導通チェックは、基板のUnderglowテープ用に用意されているVCC,GNDが使いやすいです。
まずVCCにテストリードを当て、各LEDの◯印が付いたところを順番に他方のテストリードを当てていって導通チェックします。ビルドガイドのLED配置図の番号順に繋がっていますので、どこかで切れるとその番号以降は光らなくなります。同様にGNDにもテストリードを当てて、各LEDの◯印の対角がGNDですので、順番にチェックします。

はんだブリッジ

f:id:hdbx:20180729193522j:plain 表面側のProMicroを付けると隠れる4箇所をはんだブリッジさせます。右がブリッジ前、左がブリッジ後です。
さらにTRRSジャック、リセット用のタクトスイッチ、OLED用の4Pinソケットを付けます。

ProMicro用ソケットの取り付け

f:id:hdbx:20180729202455j:plain ProMicroは万一の場合に後からでも外せるよう、標準ピンヘッダを利用するお手軽ソケット化を行いました。
ソケットが基板に対して垂直になるようマスキングテープで仮固定して、背面からはんだ付けします。
はんだ付けの際は一番上と一番下の2箇所を付けた状態でマスキングテープを外し、基板からの浮きや方向(南北方向も斜めになっていないか?)等をしっかり確認し、甘い場合は再度はんだを溶かして微調整します。問題ない状態になったら残りをはんだ付けします。
ソケットの場合ははんだを盛りすぎるとソケット内部にまではんだが侵入して固まり、あとでProMicroを刺せなくなる恐れがありますので注意してください。

なお今回はヒロスギネットで購入したFSS-41035-12(高さ3.5mm)を使用しています。

ソケット上にProMicroをセット

f:id:hdbx:20180729203322j:plain ソケットを固定できたらProMicroの背面を上にしてソケットの上に置き、さらにピンヘッダを挿入します。ピンヘッダは余分を切るので予め少し端にプラを寄せています。寄せるのは結構力がいるので難しければ無理にやらなくてもいいかもしれません。無理に力を入れて割ると元も子もないですし。

f:id:hdbx:20180729203708j:plain ピンヘッダの脇からProMicroにはんだ付けします。

f:id:hdbx:20180729203807j:plain ニッパーでピンヘッダを短くカットします。カット時に力がかかるとはんだにクラックが入って導通が途切れ、ProMicroによくある特定の行や列が反応しない現象が発生しますので、カット後に再度上からはんだごてを当ててはんだを溶かして念を入れます。
これでProMicroのお手軽ソケット化完成です。

LED動作確認

f:id:hdbx:20180729204118j:plainf:id:hdbx:20180729204146j:plain USBをつないでLEDを確認します。表も裏も無事全部点灯しました。

f:id:hdbx:20180729204428j:plain このときOLEDを付けておくと、ピンセットなどでスイッチを短絡させて、キーが入力されるログを表示させたりできます。

ホットスワップ用ソケット(ベリリウム銅)

f:id:hdbx:20180729204539j:plain キースイッチをホットスワップできるよう、ベリリウム銅ことMill-Maxの0305-2-15-80-47-80-10-0を使用しました。同じMill-Maxでもコンタクトが金で長さももう少し短い
7305-0-15-15-47-27-10-0もあります。そっちのほうが高いですが……

裏側はまだ剥がさない

f:id:hdbx:20180729204955j:plain トッププレートの表面側のアクリル保護を剥がして、キースイッチを入れていきます。まだ裏側は保護シートを付けたままにしておきます。
ちなみにキースイッチは大好きなピンク色軸のAliaz Silent Tactile 50gを使用しています。

f:id:hdbx:20180729205151j:plain 裏側からベリリウムを突っ込んでいきます。

f:id:hdbx:20180729205224j:plain 全部にベリリウムを突っ込んだら、保護シートを外します。外したらもう触らないこと。ここで指紋を付けたままはんだ付けすると、指紋の拭き取りは全部のキースイッチを抜かないとできませんので。ホットスワップにしてなければ永遠に指紋が残るので……

はんだ付け前の確認

f:id:hdbx:20180729205415j:plainf:id:hdbx:20180729210026j:plain かんたんに基板にささってるように見える写真ですが、はめる工程でいくつかのスイッチはポロリしました。外れたスイッチは穴位置を狙ってそっとはめ込んで、全部がしっかりハマった状態になることを確認して、ソケット内部にはんだが侵入しないよう、ベリリウムソケットの脇からはんだ付けします。

f:id:hdbx:20180729210222j:plain こんな具合で、後からキースイッチが外せるわけですね。好みのスイッチに変更できるわけです。
まぁ、キーキャップを外そうとしてもキースイッチが外れてしまうんですけどね……

完成!

f:id:hdbx:20180729210322j:plain 完成。かわいいです。
ちなみに大体の部品が基板の背面に配されているので、後で部品が壊れてもメンテナンスが楽にできます。愛着を持ってキーボードを使っていきたいですからね。

f:id:hdbx:20180729210423j:plainf:id:hdbx:20180729210446j:plain SA Carbonのキーキャップを着せました。コンパクトなのに立体感がある!
このキー数なのでほとんどホームから手を動かさずにタイピングができるのを強みに変えられるようなキーマップを作れたら、最強キーボードつまりEndGameとなり得るキーボードだと思います。
キーマップこれから煮詰めていくぞー

なおキーボード組むときのツール類は以下を参考にしていただければと思います。 hdbx.hateblo.jp