L2K ADAPTERS で Artisanキーキャップ を作ろう
はい皆さんこんばんは、@hdbx です。今夜もよろしくおねがいします。
この記事は、自作キーボード Advent Calendar 2018 の3日目に、自キャ沼への誘いを主な目的として書かれています。 adventar.org
(L2Kをご存知無い方は、まず↓をお読みいただくことをオススメします。)
オリジナルのArtisan(アーティザン/アルチザン)キーキャップを作ってみたい
Artisanキーキャップ、いいですよね。見てるだけでも楽しいです。でも、自分で作れたらもっといいよなぁ。キーキャップの複製をしているうちに、こういう思いが湧き上がってくるのは至極自然なことですよね。
朧げだったArtisan製作の夢が、L2Kで遊んでいるうちに、「Artisan製作、割と現実味あるんじゃないの?近くに来てるんじゃないの?あと少しなんじゃないの?」と感じるようになってきたわけです。
じゃあ、どうすれば作れるか考えてみようじゃないかと。
どうやってArtisanを作るか
L2Kで遊んだので、既存のキーキャップの軸受けを流用してCherry MX軸が作れることはわかりました。では作らないといけないのは上の型です。どーいうもんでもって、あんなクリーチャーやらオモロイカタチを作るんやろ?
私はTwitterで聞いたりRedditやgeekhackを検索したりググったりしまくり、とりあえず一つの解答に辿り着きました。
樹脂粘土
スカルピーやオーブン粘土と呼ばれる、常温でこねくり回してる間は柔らかいけど、オーブントースターで焼くとカチカチに固まる粘土です。焼かない限り固まらないので、時間の制約を受けずに納得出来るまで造形できるそうです。いいじゃないですか。
樹脂粘土と言ってもたくさん種類がありますが、今回選んだのはグレイスカルピーという粘土です。
プラモデルの塗装前に吹き付けるサーフェイサーの定番色でもある「グレイ」という色は立体物の陰影がわかりやすく、傷や凹みも含めて造形の詳細を確認するのに適しています。また硬化後の処理のし易さ等の評価も良かったというところが選択の決め手となりました。
温度調整機能付きオーブントースター
樹脂粘土を硬化させるためにはオーブントースターが必要です。グレイスカルピーの場合は130℃で、というような温度の指定がありますので、温度指定ができるものでないと安定して焼成することができないそうです。また、焼くときに謎の化学物質が発生するという話も見かけましたので、キッチンのオーブントースターとの共用は絶対にダメらしく。
タイマーもできれば30分まで設定できるものの方が良い*1、というような意見も見かけた気もしましたが、予算と自分の部屋のスペースの都合に折合いをつける過程で見なかったことにして、最終的にはコイズミのKOS-1013/Sを買いました。今はもう廃盤なのかAmazonでは見当たらないので、これなんかがいいんじゃないかと思います。
造形のための土台作り
粘土をこねてキーキャップを作るとなると、手持ち出来る土台を作る必要があります。いろんなやり方があるとは思いますが、私は手元にあった1mm厚のプラ板を使うことにしました。
キーキャップのサイズの目安にならないと意味がないので、まずプラ板を18mm角でカットします。*2四隅はちょっと丸めたほうがいいです。そして割り箸をカットして両面テープでくっつけて持ち手にしました。
造形する
作った土台の上にグレイスカルピーを適量のせて、いよいよ粘土遊び開始です。キーキャップの造形に使用するスカルピーの量はほんのちょびっとなので、グレイスカルピー一つ買えば毎週新しいキーキャップを造形しても一年分はあるんじゃないかと錯覚するほどです。ナイスコスパ。
つまようじやタミヤの調色スティック、プラスチックスプーンなど、使えそうなものを利用して心ゆくまで造形します。ここで有無を言わさず己の持つ造形力やセンスが顕になります。他人様の作品はできるだけまともには見ないようにしましょう。(なんとこの項目写真なし!)
オーブンのセッティング
造形に納得したら、焼成して粘土を硬化させますが、その前にオーブンのセッティングが必要です。
粘土に直接ヒーターを当てると焦げますので、上面はアルミホイルで半ドーム型のようなものを作り、底面はその辺りに転がっていた端材の板を置きました。
燃えませんように……*3
前面扉の引掛けを外してフルオープンできるようにして、扉側にプラモデルに仕込む用のハイキューパーツだったかの1mm厚の薄い磁石を3箇所付けて、ちゃんと閉まるようにしています。
130℃で焼く
130℃に温度目盛を合わせ、15分ほど焼きます。
焼いている間は独特の匂いが漂いますので、ちゃんと換気しましょう。初めて焼いたときは、「ああ、これキッチンでやらなくて良かった……」と安堵しましたね。その程度には匂いが出ます。
造形チェックと修正
焼き上がって冷めたらオーブンから取り出し、造形のチェックを行います。
グレイスカルピーは硬化すると、一般的なプラモデルより少しだけ柔らかめのプラスチックくらいの硬さになります。表面処理を行う場合は紙やすりよりは各種スポンジヤスリ(600番相当~3000番相当)がおススメです。またカットやバリ処理はデザインナイフで行えます。
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- メディア: おもちゃ&ホビー
またエナメル溶剤で溶ける特性がありますので、表面を滑らかにしたり、溶剤を塗布してさらに粘土を増し盛りして再造形する、なんてことも可能です。
底面をくり抜いてL2Kにつける
硬化したキーキャップ原型が出来たら、L2Kに固定しましょう。
L2K側には中央に軸がありますので、そこにハマるようにデザインナイフ等で原型の底面を掘ります。
L2Kへの固定は薄い両面テープを使用しました。
出来るだけL2Kの中心に原型を配置して固定しないと、下側の型で軸受けがズレてしまうので気をつけます。
型取り
透明シリコンで型取りします。
現在は、硬化液とシリコンを混合後、真空保管庫に入れて200回シュコシュコして減圧。10分程度経ったら出して注入、というのが安定して気泡が入らないモールド製作メソッドになりました。
DSAキーキャップの下型と組み合わせて注型
シリコンが固まり、余分なカスを取り除けば上型の出来上がりです。
下型は高さがあまりないDSAやXDAのキーキャップで作ったものが適しています。下型の作り方は前回記事をごらんください。Artisan自体に高さがあれば、CherryプロファイルでもSAプロファイルでもなんでもいいとは思いますが。
Artisanキーキャップ完成!!
UVレジンや、エポキシ系またはポリウレタン系の2液レジンなどを型に流し込んで硬化させたら、念願のArtisanキーキャップの完成です!感動!!
まとめ
なんだかアドベントカレンダー用の記事として相応しいのか?という気もしないでもないですが、いかがでしたでしょうか?
Artisanキーキャップ、作ってみたくなりましたよね!?
ぼやぼやしてるんじゃない、さっさとスカルピーとオーブントースターを買いに行くんだ!!
「この記事は前半をHelix carbonite (Outemu Ice V2 Clear Lubed w/Carbon SA Keysap)、後半をIris (Aliaz Silent Tactile w/GMK Plum and Nillpo Cable)で書きました。」