届かなかったエスプレッソマシン

この記事は「届かないクラウドファンディング Advent Calendar 2018」12月5日版のために書かれました。

adventar.org

ご多分に漏れず(何が?)、私も昔はよくクラウドファンディングに参加したものです。 時期で言うと、2010年頃から2012年頃が多かったでしょうか。

前置きはこれくらいにして届かなかったもの紹介しますね。え~、これはエスプレッソマシンです。

PID-Controlled Espresso Machine ZPM Espresso

www.kickstarter.com

最近はデロンギのとかが人気なんですかね、エスプレッソマシン。価格.com を見てるとそんな感じですよね。コーヒー好きにとっては自宅にエスプレッソマシンを置く、というのが一つのささやかな夢と申しますか、そういう感じがね、あるの、わかってもらえますかね?

で、まぁ割とお高いんですよね。Rancilio Silviaとかね。La Pavoniとかね。まぁ人気どころのやつは当時から大体10万円オーバーでした。


で、エスプレッソというのは高温のお湯を高圧でシュバァァッ!!ってやって作るものなのですが、その湯温制御をサーミスタのON/OFFで行うタイプと、より最適な湯音調整が可能なPID制御で行うタイプと、がありましてですね(このあたりはもう記憶も曖昧ですが……)まぁ後者の方がもちろんお高いんですよ。

で、このマシンは、$400もしないのに、そのPID制御ができるスグレモノなわけです!!

もう出資しない理由が見当たらないじゃないですか!?

その後の出来事

2012年 1月

1台手に入れるべく、$370ほど出資しました。まあ当時のUSD/JPYは78円くらいでしたからね。3万円ほどですね。

出荷予定は2012年の12月です。もうワクワクです!!

2012年 4月

お決まりの当初デザインからの変更のアップデート(CoolなグリーンのOLEDがチャームポイントだったのに、LCDスクリーンへ)に、バッカーたちから罵声が飛びます。また試作タイムラインも当初見積もりから数週間ずれ込むよ、とのご報告。

2012年 7月

全く試作の状況も見えないというか教えてくれないのに、のんきなオンラインMeetingを行うというアップデート。「本当に予定通りの日程でモノ届くのかよ!?」というバッカーからの当然の突っ込みがコメント欄に目立ってきます。

2012年 9月

ようやく肝心のハードウェアに関わるアップデートがありました。試作基板を写真付きで紹介し、工場がある中国へ行ってくるぜ!という内容。

バカなバッカーたちは一様にホッと胸を撫で下ろしました。「その調子でやってくれよな!」「くそ!俺は赤いのを頼むべきだったぜ!今からでも筐体色は変えられるのかい?」という心温まるコメントを見ると頬に温かい水が流れます。

2012年 12月

UL認証だのファームウェアの開発だの、いろんな山積みの問題はあるんだけど、そいつは大したことじゃあない。だが、急いでダメな製品を世に出すのは良くないだろう?わかってもらいたい!申し訳ないが予定が後ろにずれ込むんだ……という長文アップデート。

新しい出荷予定は2013年4月下旬~6月上旬になりました。バッカーはまだ彼らのことを信じています。

2013年 4月

UL認証不合格と数々のQC Issues……モノ作るってレベルじゃねーぞ!という写真が示され、しかしバッカーたちは正直に状況を見せてくれる彼らのことが大好きでした。タイムラインを引き直さなきゃいけないんだ……という彼らの言い分にも寛容に理解を示し、その割に彼らは新しいタイムラインをなかなか見せてはくれませんでした。まあ、その後、カラフルな試作筐体の写真がアップされたりして、障害はあるものの着実に前進しているように思えたんですよね、当時は。

2013年 7月

新しい出荷スケジュールが発表されました。

2013年9月下旬~10月下旬です。楽しみですね。

2013年 12月

なぜか最初は50台の試作を出荷して、それらをベータテスターがチェックするというよくわからない流れになっていました。UL認証には未だ合格していません。

2014年

ベータマシンが予定通り動いていなかったり、UL認証テストで最後のテスト項目をやり直せと言われたり、色々な理由を付けられてのびのびです。

2015年 1月

前年12月にCOOを努めていた人物が突然会社を去り、このプロジェクトを整理せざるを得ないことが通達されました。返金ももちろん無理とのことです。

すでに前年あたりから不穏な感触を掴み取っていたバッカーたちからは145件のコメントが付き、プロジェクトは終焉を迎えたかに思えました。

2015年 3月

まだプロジェクトは死んじゃいない。まだ決まってはいないから何も言えないけど、このプロジェクトを軌道に乗せるための動きがあるんだ!きっとそのうちいい報告ができると思うよ!という予期せぬアップデート。もう諦めていたのに、そんな期待をもたせるようなことを言うんじゃないよ……

2015年 10月

Decent Espresso ってところに彼らがやろうとしたことのIPと出資者のメーリングリストを売り渡して、そこから$200だかのバウチャーコードあげるから、ウチの$800のエスプレッソマシンをオトクに買えまっせ!というクソofクソのようなアップデート。実際、知りもしないその業者からメールが来ました。誰が買うか!!!本当に後味が悪い終わり方しました……

まとめ

この頃のKickstarterはまだレンダーだけでもProject立てて集金できてたあたりだったかと記憶していて、特にハードウェアはProject成立後の製品化成功率がひどかった時期です。いい夢見させてもらったぜ!あばよ!!って感じですね。この記事でようやく供養できました。な~む~。