crkbd (コルネ DIY keyboard) をキースイッチスワップ仕様で組んだ

@foostanさんによる42キーのスプリットキーボードcrkbdを組みました。
あいにく今は在庫切れしていますが、販売サイトはこちらです。
ビルドガイドも上記のサイトからリンクされています。

(自作キーボード初心者の方へのアドバイスです)
ビルドガイド(組立説明書)には事前に一通り目を通して、しっかり手順を理解してから実際の製作に取り掛かりましょう。間違えてはんだ付け作業をやり直すのは、面倒くさいわ基板は汚くなるわで、よろしくないですからね。失敗からのリカバリスキルが磨かれるという意味ではいい面も無いではないですけど……


では、組んでいきます。
の前に…… ProMicroのモゲ防止ついでにQMK_Firmwareを書き込む をやっておきましょう。これはもう毎回やっとくべきです。

では、組んでいきます。

キット外観

f:id:hdbx:20180729175721j:plain crkbdは、非常にコンパクトな分割キーボードです。
見た目スッキリにしたかったので、キットに同梱されているリード部品の(足が生えてる)1N4148ダイオードは使わず、別途AliExpressで調達したSMDダイオード(SOD-123 1N4148W)を使用しました。42キーのキーボードなので42個使います。
AliExpressで買ったものはこれ

SMDダイオードとは

f:id:hdbx:20180729175925j:plain そのあたりに転がっていたDSAキーキャップとの比較です。SMDダイオードは米粒よりも小さいです。
ダイオードをパッケージから出して、ピンセットで線がある方向を揃えます。写真では左側に線がある状態に揃えています。こうすることで、はんだ付け作業時に都度方向を意識する必要が無くなり、効率よく作業を行えます。
※線がある方がカソードになります。自作キーボードの基板上では●-■でよく表されますが、■の方向に線があるように配置します。

基板にSMDダイオードをはんだ付け

f:id:hdbx:20180729180853j:plain やり方は

  1. 一方のランドに予備はんだを軽く盛る。このとき基板の向きとかはんだごてを持つ手の方向とかを考えておく。(私は右手ではんだごてを扱うので、右側に予備はんだを盛ります)
  2. 左手に持ったピンセットでSMDダイオードをつまみ、基板上の予備はんだの上に足が乗るように置く。 ※線の方向が正しいか注意!
  3. ダイオードの足ごと下の予備はんだを溶かして、片側を仮付けする。
  4. ピンセットでダイオードを上から押しつつはんだごてを足とランドに当て、基板からの浮きを無くす。またダイオードの方向が斜めってたら直す。
    ※大抵浮いてるので、これをやると基板面にダイオードを押し付けられて、一段沈む感触があります。
  5. 反対側の足にはんだを盛って固定する。
  6. 予備はんだが足りていないところに再度はんだを足す。 なお、この作業をしていてはんだに含まれるフラックス成分が蒸発してしまって、はんだにツヤが無くなってツノが生えるようになってしまったら、フラックスを塗ってやると再び復活します。

↓手順の動画です。ここでは先に予備はんだにフラックスを塗ってからはんだ付けしてます。(これはHelixの基板ですが)

LEDはんだ付け作業用治具芋けんぴ)を付ける

f:id:hdbx:20180729182515j:plain RGB LEDをつけるため、キットに同梱されている作業補助治具(通称:芋けんぴ)を、マスキングテープで基板の表に貼り付けます。
各キー用のRGB LEDは、表面が光るように付けるため、LEDの裏側からはんだを行います。つまり基板の裏面からはんだ付けします。
42キーのキーボードですがLEDは56個(表42個+Underglow12個)使用します。

LEDはAlilExpressで、SK6812 3535 を買いました

LEDを並べる

f:id:hdbx:20180729183530j:plain 基板上の白い◯印のところにLEDの一番大きいランドが来るように配置します。
配置できたらLEDと基板のランドにフラックスを塗ります。基板とLEDで少し隙間があるのですが、そこをはんだでブリッジさせるには、フラックスがあるのと無いのとでは作業性が全然違います。なおLEDは熱に弱いため、はんだ付け作業は230~240℃設定くらいにして、あまり長くこてを当てないように注意しながら行います。
はんだごてにはんだを付けて溶かした状態で、LEDと基板をなでて、引きはんだで付けるのがやりやすいと思います。私は2箇所ずつに分けて行いました。
底面用の6箇所はビルドガイドを見ながら治具無しで気合で付けます。
@foostanさんによるLED付け作業のコツ

テスターでダイオードの導通を確認

f:id:hdbx:20180729184250j:plainf:id:hdbx:20180729184627j:plain この辺でちゃんとはんだ作業できているか確認するため、テスターを当てて導通をチェックしました。
まずダイオードについては、crkbd rev.1のconfig.hによると
#define MATRIX_COL_PINS { F4, F5, F6, F7, B1, B3, B2 }
と記載されているので、写真のようにF4から順番に該当列の一番下のスイッチにテスターを当てて、導通チェックしました。
あれ、crkbdは6列だからB2使ってないんじゃないのかな?よくわかりません。下写真のように、B3までで全部確認ができました。
ダイオードが正常に取り付けできていない場合は、導通が途中で途切れていますので、一つ上のスイッチから順にチェックすることで異常箇所を見つけられます。

テスターでLEDの導通を確認

f:id:hdbx:20180729195932j:plainf:id:hdbx:20180729195958j:plain RGB LEDの導通チェックは、基板のUnderglowテープ用に用意されているVCC,GNDが使いやすいです。
まずVCCにテストリードを当て、各LEDの◯印が付いたところを順番に他方のテストリードを当てていって導通チェックします。ビルドガイドのLED配置図の番号順に繋がっていますので、どこかで切れるとその番号以降は光らなくなります。同様にGNDにもテストリードを当てて、各LEDの◯印の対角がGNDですので、順番にチェックします。

はんだブリッジ

f:id:hdbx:20180729193522j:plain 表面側のProMicroを付けると隠れる4箇所をはんだブリッジさせます。右がブリッジ前、左がブリッジ後です。
さらにTRRSジャック、リセット用のタクトスイッチ、OLED用の4Pinソケットを付けます。

ProMicro用ソケットの取り付け

f:id:hdbx:20180729202455j:plain ProMicroは万一の場合に後からでも外せるよう、標準ピンヘッダを利用するお手軽ソケット化を行いました。
ソケットが基板に対して垂直になるようマスキングテープで仮固定して、背面からはんだ付けします。
はんだ付けの際は一番上と一番下の2箇所を付けた状態でマスキングテープを外し、基板からの浮きや方向(南北方向も斜めになっていないか?)等をしっかり確認し、甘い場合は再度はんだを溶かして微調整します。問題ない状態になったら残りをはんだ付けします。
ソケットの場合ははんだを盛りすぎるとソケット内部にまではんだが侵入して固まり、あとでProMicroを刺せなくなる恐れがありますので注意してください。

なお今回はヒロスギネットで購入したFSS-41035-12(高さ3.5mm)を使用しています。

ソケット上にProMicroをセット

f:id:hdbx:20180729203322j:plain ソケットを固定できたらProMicroの背面を上にしてソケットの上に置き、さらにピンヘッダを挿入します。ピンヘッダは余分を切るので予め少し端にプラを寄せています。寄せるのは結構力がいるので難しければ無理にやらなくてもいいかもしれません。無理に力を入れて割ると元も子もないですし。

f:id:hdbx:20180729203708j:plain ピンヘッダの脇からProMicroにはんだ付けします。

f:id:hdbx:20180729203807j:plain ニッパーでピンヘッダを短くカットします。カット時に力がかかるとはんだにクラックが入って導通が途切れ、ProMicroによくある特定の行や列が反応しない現象が発生しますので、カット後に再度上からはんだごてを当ててはんだを溶かして念を入れます。
これでProMicroのお手軽ソケット化完成です。

LED動作確認

f:id:hdbx:20180729204118j:plainf:id:hdbx:20180729204146j:plain USBをつないでLEDを確認します。表も裏も無事全部点灯しました。

f:id:hdbx:20180729204428j:plain このときOLEDを付けておくと、ピンセットなどでスイッチを短絡させて、キーが入力されるログを表示させたりできます。

ホットスワップ用ソケット(ベリリウム銅)

f:id:hdbx:20180729204539j:plain キースイッチをホットスワップできるよう、ベリリウム銅ことMill-Maxの0305-2-15-80-47-80-10-0を使用しました。同じMill-Maxでもコンタクトが金で長さももう少し短い
7305-0-15-15-47-27-10-0もあります。そっちのほうが高いですが……

裏側はまだ剥がさない

f:id:hdbx:20180729204955j:plain トッププレートの表面側のアクリル保護を剥がして、キースイッチを入れていきます。まだ裏側は保護シートを付けたままにしておきます。
ちなみにキースイッチは大好きなピンク色軸のAliaz Silent Tactile 50gを使用しています。

f:id:hdbx:20180729205151j:plain 裏側からベリリウムを突っ込んでいきます。

f:id:hdbx:20180729205224j:plain 全部にベリリウムを突っ込んだら、保護シートを外します。外したらもう触らないこと。ここで指紋を付けたままはんだ付けすると、指紋の拭き取りは全部のキースイッチを抜かないとできませんので。ホットスワップにしてなければ永遠に指紋が残るので……

はんだ付け前の確認

f:id:hdbx:20180729205415j:plainf:id:hdbx:20180729210026j:plain かんたんに基板にささってるように見える写真ですが、はめる工程でいくつかのスイッチはポロリしました。外れたスイッチは穴位置を狙ってそっとはめ込んで、全部がしっかりハマった状態になることを確認して、ソケット内部にはんだが侵入しないよう、ベリリウムソケットの脇からはんだ付けします。

f:id:hdbx:20180729210222j:plain こんな具合で、後からキースイッチが外せるわけですね。好みのスイッチに変更できるわけです。
まぁ、キーキャップを外そうとしてもキースイッチが外れてしまうんですけどね……

完成!

f:id:hdbx:20180729210322j:plain 完成。かわいいです。
ちなみに大体の部品が基板の背面に配されているので、後で部品が壊れてもメンテナンスが楽にできます。愛着を持ってキーボードを使っていきたいですからね。

f:id:hdbx:20180729210423j:plainf:id:hdbx:20180729210446j:plain SA Carbonのキーキャップを着せました。コンパクトなのに立体感がある!
このキー数なのでほとんどホームから手を動かさずにタイピングができるのを強みに変えられるようなキーマップを作れたら、最強キーボードつまりEndGameとなり得るキーボードだと思います。
キーマップこれから煮詰めていくぞー

なおキーボード組むときのツール類は以下を参考にしていただければと思います。 hdbx.hateblo.jp